一日一曲(1843)グズモンセン=ホルムグレーン、ペレ:ソロ

 本日は、没後10年(2016年6月27日没)を迎えらえたデンマークの作曲家、ペレ・グズモンセン=ホルムグレーンさんの曲をご紹介します。

【ペレ・グズモンセン=ホルムグレーン:北欧の豊かな響きの中に、ユーモアと厳格な知性を同居させたデンマークの奇才】
 ペレ・グズモンセン=ホルムグレーン(Pelle Gudmundsen-Holmgreen)は、1932年11月21日にデンマークのコペンハーゲンに生まれた作曲家です。
 彼はコペンハーゲンのデンマーク王立音楽アカデミーで学び、1950年前半から本格的な作曲活動を始めました。初期のころは、当時の最先端であったトータル・セリアリズム(総音列主義)などの前衛音楽の潮流に影響を受けましたが、やがてその厳格すぎるシステムに疑問を抱くようになります。そこで彼が見出したのが、単純な要素を執拗に繰り返したり、一見不調和な日常の断片を音楽にコラージュしたりする独自のスタイルでした。
 彼の音楽は、しばしば「新単純主義(New Simplicity)」と呼ばれ、複雑で難解になりがちだった現代音楽の世界に新鮮な驚きをもたらしました。ユーモアとアイロニー、あるいは残酷なほどの客観性を持った作品を次々と発表し、北欧を代表する重要な作曲家の一人として確固たる地位を築いた彼は、2016年6月27日にこの世を去りました。

【本日のご紹介曲:『エレキギターのためのソロ(Solo for el-guitar)』】
 本曲は、グズモンセン=ホルムグレーンが1971年から1972年にかけて、デンマークのギタリストであるインゴルフ・オルセン(Ingolf Olsen)のために書き下ろした作品です。
 一見、自由で即興的、あるいは非常にシンプルに聴こえる音楽ですが、実はそのすべての楽章の構成や素材に、厳格な数学的規則が隠されています。現代音楽特有の張り詰めた緊張感と、エレキギターという楽器が持つ独特の音響が融合した、極めて個性的な一曲です。

【聴きどころ】
1)フィボナッチ数列による厳密な構築
 この作品に用いられているすべての音楽的な素材は、「1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21…」と前の2つの数字を足していく「フィボナッチ数列」に基づいて徹底的にコントロールされています。音の長さやリズム、音程など、あらゆるレベルにこの比率が組み込まれており、その数学的な美しさが楽曲の骨組みとなっています。
2)シンプルで「ありふれた」素材の再生
 作曲者自身、この作品で用いているベースの素材は「非常に限定的で、シンプルで、時にはありふれた(陳腐な)もの」だと述べています。しかし、フィボナッチ数列という厳格なシステムと緻密な構造を通すことで、それらのありふれた響きが、これまでにない全く新しい純粋さと新鮮さを持って生まれ変わる瞬間を体験できます。
3)エレキギターという楽器の新たな一面
 クラシックの現代作品として、あえてアコースティックギターではなくエレキギターをソロ楽器に選んでいる点が特徴です。楽器が持つ特有のニュアンスや響きを活かしながら、全7パート(Part 1〜Part 7)にわたって細切れに展開される独特の緊張感に満ちた音響世界を堪能できます 。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
グズモンセン=ホルムグレーン、ペレ:ソロ

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