一日一曲(1882)ラウタヴァーラ、エイノユハニ:ピアノソナタ第2番「火の説法」
没後10年(2016年7月27日没)を迎えらえたフィンランドの作曲家、エイノユハニ・ラウタヴァーラさん特集の二日目です。
【エイノユハニ・ラウタヴァーラ:フィンランドの広大な自然と神秘的な天使の響きを融合させ、現代音楽に豊かな抒情性を取り戻した現代クラシック界の巨匠】
【生涯の歩み(第2部)】十二音技法とトーン・クラスターの模索
1960年代に入ると、ラウタヴァーラは更なる音楽的表現を求めて厳格な十二音技法やシリアル主義といった前衛的な作曲手法を取り入れるようになります。当時のヨーロッパ音楽界を席巻していた前衛芸術の波に挑み、自らの音楽言語を再構築しようと試みました。しかし、彼は単に理知的な理論に終始することなく、不協和音や複雑な構造の中に常に強い人間的な感情や情熱を宿らせました。1960年代末から1970年代初頭にかけては、ピアノの鍵盤を腕や肘で叩くトーン・クラスター奏法などを果敢に導入し、楽器の限界に挑むかのような圧倒的なエネルギーを持つ作品を次々と生み出しました。この時期の実験的な模索と過激な表現への挑戦は、後に彼が独自の美学を確立するための不可欠なプロセスとなりました。自身の母校であるシベリウス音楽院で教鞭を執り始め、後進の育成にも力を注ぎながら、時代の先端を走る作曲家として精力的な創作活動を続けました。
【本日のご紹介曲:ピアノ・ソナタ第2番『火の説法(The Fire Sermon)』Op.64 (1970年作曲)】
仏教の経典やT.S.エリオットの詩『荒地』に着想を得て作られた、ピアノ独奏曲の金字塔です。「火」が象徴する情熱、欲望、そして浄化をテーマにしており、ピアノという楽器をまるで打楽器のように打ち鳴らす過激な現代奏法が駆使されています。前衛的でありながら、圧倒的なストーリー性と旋律の美しさが同居する非常に迫力のある作品です。
【聴きどころ】
1)トーン・クラスター奏法による圧倒的な音響
前腕や肘を使って鍵盤を一度に叩くクラスター奏法により、ピアノ一台からオーケストラにも匹敵する音の塊が生み出されます。
2)激しいリズムと静寂の絶妙なコントラスト
怒涛のように押し寄せる激しい連続音と、ふと訪れる不気味なほどに静けさを湛えたパートとの対比が聴き手を引き込みます。
3)情熱的な旋律線の浮き彫り
複雑で不協和な音響の奥底から、胸を打つようなロマンティックで情熱的なメロディラインが鮮やかに立ち現れます。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ラウタヴァーラ、エイノユハニ:ピアノソナタ第2番「火の説法」
ラウタヴァーラ、エイノユハニ:ピアノソナタ第2番「火の説法」(amazon music)
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