一日一曲(1738)ユーデンクーニヒ、ハンス:オランダ風のロンド
本日は、没後500年(1526年3月4日)を迎えらえたドイツの作曲家、ハンス・ユーデンクーニヒさんの曲をご紹介します。
【ハンス・ユーデンクーニヒ:独学者のための最古のリュート教本を世に送り出し、ルネサンス音楽の夜明けを指先で紡いだ孤高の弦楽奏者】
ハンス・ユーデンクーニヒは、1445年から1450年頃、現在のドイツ・バイエルン州にあるシュヴェービッシュ・グミュントに生を受けました。
彼の若年期の足取りは、15世紀という時代の古さもあり詳細な記録が乏しいものの、1518年頃には音楽の都ウィーンへと移り住んでいたことが判明しています。そこで彼は市民権を獲得し、リュート奏者としての活動を本格化させました。当時のヨーロッパは、中世以来の「ピック(義爪)」で弦を弾く奏法から、指の腹で直接弦を弾くことで、複数の旋律を同時に奏でる多声的な表現へと移行する、音楽史における大きな転換期にありました。ユーデンクーニヒはこの新しい「指弾き」の技術をいち早く体系化し、宮廷の限られた専門家だけでなく、一般の愛好家にも門戸を広げようと情熱を注いだ先駆者でした。
教育者としての彼の姿勢を象徴するエピソードが、1523年にウィーンで出版された主著『極めて有益かつ良き記憶すべき、リュートを独学するための教則本』の序文に残されています。彼はそこで「良き師に出会えない人々のために、この本が最良の導き手となるように」と記しました。これは、高度な音楽知識を独占せず、意欲ある市民に開放しようとした彼の慈愛の精神を物語っています。また、彼自身がリュートの製作にも精通していたという説もあり、楽器の構造から演奏法までを熟知した真の巨匠であったと言えるでしょう。
この画期的な著作の出版から3年後、彼は1526年3月4日に、長年活動の拠点としたウィーンにてその生涯を閉じました。彼が確立したドイツ式タブラチュア(奏法譜)の体系は、その後のドイツ・リュート楽派が黄金時代を迎えるための、揺るぎない礎となったのです。
本日の紹介曲:『オランダ風の輪舞(ロンド)』
この楽曲は、ユーデンクーニヒが1523年にウィーンで出版した教則本に収録されている、彼の代表的な編曲作品です。当時、文化的な先進地であったネーデルラント(現在のオランダ・ベルギー周辺)の流行を取り入れたもので、リュートの魅力を最大限に引き出す彼の編曲手腕が光ります。
【本日のご紹介曲:オランダ風のロンド】
この楽曲は、ユーデンクーニヒが亡くなった年である1523年にウィーンで出版された教則本に収録されています。当時、文化的な先進地であったネーデルラント(現在のオランダ・ベルギー周辺)の流行を取り入れた作品で、リュート一台で豊かな空間を演出する彼の編曲手腕が光ります。
【聴きどころ】
1)素朴ながらも洗練された旋律
当時の市井の人々が口ずさんでいたであろう親しみやすいメロディが、リュートの気品ある響きへと見事に昇華されています。
2)指弾きによる多声的な美しさ
ピックではなく指で弾くことで可能になった、主旋律と伴奏が対話するように絡み合う「ポリフォニー」の豊かな響きに耳を澄ませてみてください。
3)輪舞(ロンド)の躍動感
一定のリズムで繰り返される旋律は、当時の広場で人々が手を取り合い、輪になって踊る光景を鮮やかに想起させ、聴く者をルネサンス期のウィーンの空気へと誘います。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ユーデンクーニヒ、ハンス:オランダ風のロンド
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