一日一曲(1787)ボイル、マルコム:われらはシオンで神をたたえ
本日は、没後50年(1976年12月14日没)を迎えらえたイギリスの作曲家兼オルガニスト、マルコム・ボイルさんの曲をご紹介します。
【マルコム・ボイル:英国聖歌の伝統に近代的な色彩を吹き込み、大聖堂の響きを刷新した至高のメロディメーカー】
マルコム・ボイル(Malcolm Courtenay Boyle)は、1902年1月22日、イギリスのウィンザーに生まれました。幼少期より音楽的才能を示し、ウィンザー城の聖ジョージ礼拝堂の合唱隊員としてキャリアをスタートさせます。その後、王立音楽大学(RCM)で学び、サー・ウォルター・パトラットやチャールズ・ウッドといった当時の英国教会音楽界の重鎮から指導を受けました。
1932年から1947年にかけては、チェスター大聖堂にて合唱指揮の要職を務め、その手腕を高く評価されます。彼のキャリアにおいて最も重要な時期の一つであり、チェスター大聖堂の音楽水準を大きく引き上げるとともに、作曲家としても独自の地位を確立していきました。第二次世界大戦中も音楽活動を継続し、戦後の教会音楽の復興にも寄与しています。
1947年以降は、カンタベリーの聖マルコ大学などで教鞭を執り、後進の育成に力を注ぎました。彼の作品は、スタンフォードやパリーといった19世紀後半からの英国音楽の伝統を継承しつつ、20世紀前半の色彩豊かな和声感覚を取り入れた点が特徴です。ボイルは1976年12月14日、イングランドのケント州でその生涯を閉じました。彼の残した合唱曲は、今なお英国の主要な大聖堂や教会の典礼において、なくてはならないレパートリーとして愛され続けています。
【本日のご紹介曲:われらはシオンで神をたたえ(Thou, O God, art praised in Sion)】
この楽曲は、旧約聖書「詩篇 第65篇」のテキストに基づいたアンセム(聖歌)です。ボイルがチェスター大聖堂に在籍していた1937年に作曲されました。
荘厳なオルガンの導入部から始まり、合唱が力強く、かつ流麗に歌い上げるこの曲は、ボイルの代表作として広く知られています。収穫の感謝や神への賛美をテーマとしており、祝祭的な雰囲気と、英国音楽らしい抑制された美しさが共存しています。
【聴きどころ】
1)劇的なダイナミクスの変化
冒頭の堂々とした賛美から、中間部の内省的で静謐な響き、そして終盤の圧倒的なクライマックスへと至る構成が、聴く者の心を捉えます。
2)オルガン伴奏の色彩感
単なる伴奏にとどまらず、オルガンがオーケストラのような多彩な音色で合唱を支えます。特に重厚な足鍵盤(ペダル)の使用が、楽曲に深い安定感を与えています。
3)流麗な旋律線と和声の融合
伝統的な対位法を用いながらも、時折現れる20世紀特有の新鮮な表現が、古典的な美しさにモダンな輝きを添えています。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ボイル、マルコム:われらはシオンで神をたたえ
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