一日一曲(1777)ウェズリー、サミュエル:交響曲変ロ長調

 本日は、昨日の作曲者の父親にあたる作曲家、サミュエル・ウェズリーさんの曲をご紹介します。

【サミュエル・ウェズリー:J.S.バッハを英国に再発見し「イギリスのバッハ」と讃えられた不世出の天才作曲家】
 1766年2月24日、ブリストルに誕生したサミュエル・ウェズリーは、ウェズリー家が輩出した最大の天才の一人と目されています。幼少期の音楽的感性は凄まじく、わずか8歳でオラトリオ『ルツ』を作曲し、周囲を驚愕させました。父チャールズはその早熟な才能を「神からの贈り物」として大切に育み、サミュエルは瞬く間にロンドン音楽界の寵児となりました。
 彼の生涯における最大の功績は、当時イギリスでは過去の遺物と見なされていたJ.S.バッハの音楽を「再発見」し、その普及に心血を注いだことです。彼はバッハの緻密な対位法を徹底的に研究し、自らもその手法を駆使した壮大な宗教曲やオルガン作品を次々と発表しました。しかし、その輝かしいキャリアの裏で、彼は多くの苦難にも見舞われました。1787年に工事現場の穴に転落し、頭部を負傷した事故は、後の彼を苦しめる精神的な不安定さの一因になったと言われています。また、当時のイングランド国教会からカトリックへの一時的な改宗など、宗教的・思想的な葛藤も彼の人生に複雑な影を落としました。
 晩年は経済的な困窮や健康の悪化に苦しみましたが、音楽への情熱が衰えることはありませんでした。1837年10月11日、ロンドンにて没。死の直前には、同じく天才の名を欲しいままにしていたフェリックス・メンデルスゾーンとオルガンで共演し、新旧の天才が互いに敬意を払い合うという感動的なエピソードを残しています。

【本日のご紹介曲:交響曲 変ロ長調】
 1784年、ウェズリーがまだ18歳の頃に書き上げられた若々しさと輝きに満ちた作品です。当時のロンドンで絶大な人気を誇っていたJ.C.バッハ(大バッハの息子)やハイドンの影響を受けつつも、彼独自の躍動感が随所に溢れています。

【聴きどころ】
1)若々しく輝かしいオープニング
 第1楽章の冒頭から、変ロ長調特有の明るく開放的な響きが広がります。18歳という若さゆえの迷いのない旋律の運びと、ロンドンの聴衆を沸かせた華やかなオーケストレーションが、聴く人の心を一気に明るくしてくれます。
2)イギリス的な気品と優雅さ
 緩徐楽章(ゆっくりとした楽章)では、バロックから古典派へと移り変わる時代の、端正で気品ある旋律を楽しむことができます。単なる模倣ではなく、後のイギリス音楽にも通じるような、どこか素朴で温かい情緒が感じられるのがウェズリーの魅力です。
3)疾走感あふれるフィナーレ
 最終楽章(第4楽章)では、弦楽器の軽快な動きと管楽器の色彩豊かな対話が繰り広げられます。まるでロンドンの街を駆け抜けるような爽快なスピード感があり、曲が終わる瞬間まで飽きさせないドラマチックな展開が聴き応え十分です。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ウェズリー、サミュエル:交響曲変ロ長調

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