一日一曲(1901)グレトレ、ヨハン・メルヒオール :アヴェ・マリア
本日は、生誕400年(1626年7月生)を迎えらえたスイスの生まれのドイツのオルガニスト兼作曲家、ヨハン・メルヒオール・グレトレさんの曲をご紹介します。
【ヨハン・メルヒオール・グレトレ:スイスに生まれ、ドイツの大家として南ドイツのバロック音楽を牽引したオルガニスト】
ヨハン・メルヒオール・グレトレ(Johann Melchior Gletle)は、1626年7月頃にスイスのチューリッヒ近郊(ブレムガルテン)で生まれました。幼少期の詳細な音楽教育の足跡については不明な点も多いですが、若くして頭角を現し、音楽家としての頭角を現していきます。
1651年、グレトレはドイツの重要都市であったアウクスブルクの大聖堂にてオルガニストに任命されました。その才能と手腕が高く評価され、わずか3年後の1654年には同大聖堂の宮廷楽長(カペルマイスター)へと昇格を果たします。これ以降、彼は世を去るまで30年近くにわたりこの地位に留まり、大聖堂の音楽監督として宗教曲の作曲や演奏指導、さらには出版活動に精力を注ぎました。
彼の作品は、イタリア・バロックの影響を受けつつも、南ドイツ独特の親しみやすく華やかな色彩を備えており、当時大きな評判を呼びました。アウクスブルクを中心とする地域の音楽文化の発展に大きく貢献したグレトレは、1683年9月6日にアウクスブルクにてその生涯を閉じました。
【本日のご紹介曲:アヴェ・マリア(Ave Maria)】
グレトレが手がけた『アヴェ・マリア(Ave Maria)』は、カトリック教会で古くから親しまれている聖母マリアへの祈祷文を歌詞にした宗教声楽曲です。本作品は出版曲集『Expeditionis musicae』(第4巻など)に収められており、1681年頃に刊行されたものとして知られています。
声楽(バス歌手など)と通奏低音、そして時として彩りを添える楽器群によって構成されており、過度な装飾に頼らず、祈りの言葉一つひとつを慈しむような旋律美が特徴です。神秘的で落ち着いたバロック音楽の美しさを堪能できる一曲となっています。
【聴きどころ】
1)低音歌手が醸し出す深みとぬくもり
一般的な高音のソプラノによる優美な『アヴェ・マリア』とは異なり、深みのある低音(バス)ヴォーカルによって歌われることで、重厚かつ温かみのある祈りの響きが生まれています。
2)言葉に寄り添う穏やかな旋律線
ラテン語の歌詞「アヴェ・マリア、恵みに満ちた方…」という言葉のニュアンスに合わせ、無理のない自然で美しいメロディラインが紡がれています。親しみやすく耳に心地よい展開が魅力です。
3)通奏低音との密度の高いアンサンブル
歌声と伴奏楽器(チタローネやヴィオラ・ダ・ガンバ、サーペントなど)が互いの響きを支え合い、洗練された空間の広がりを感じさせます。器楽と声楽が溶け合う穏やかな和声感を楽しめます。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
グレトレ、ヨハン・メルヒオール :アヴェ・マリア
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