一日一曲(1773)モーレス、マリアーノ:軍靴の響き

 本日は、没後10年(2016年4月13日没)を迎えらえたアルゼンチンの作曲家兼ピアニスト、マリアーノ・モーレスさんの曲をご紹介します。

【マリアーノ・モーレス:現代タンゴの黄金時代を築き、華麗なオーケストラ・サウンドで世界を魅了したピアノの巨匠】
 マリアーノ・モーレスは、1918年2月18日にアルゼンチンのブエノスアイレスで生まれました。幼少期からピアノの神童として頭角を現し、10代でのスペイン修行を経て、1930年代後半に名門フランシスコ・カナロ楽団のピアニストに抜擢されたことが大きな転機となります。彼は伝統的なタンゴにクラシックやジャズの要素を融合させ、大編成のオーケストラを用いた「シンフォニック・タンゴ」という独自のスタイルを確立しました。作曲家としても極めて優秀で、『ウノ』や『さらば草原よ』といった数々の名曲を世に送り出しています。印象的なエピソードとして、彼はその端正な容姿と華やかなパフォーマンスから「タンゴ界の貴公子」と呼ばれ、映画界でもスターとして活躍したことが挙げられます。晩年まで現役のピアニスト・指揮者としてステージに立ち続け、アルゼンチン国民からは親しみを込めて「マエストロ」と仰がれました。2016年4月13日、故郷ブエノスアイレスにて98歳の天寿を全うしました。

【本日のご紹介曲:軍靴の響き(Taquito militar)】
 この曲は、マリアーノ・モーレスが1952年に発表した、彼のキャリアを象徴する一曲です。本曲はモーレスによって書かれた「ミロンガ(Milonga)(タンゴの源流の一つで、2拍子の弾むような快活なリズムが特徴の舞曲)」です。本曲は彼自身の楽団によるオーケストラ演奏が原曲ですが、モーレス自身が優れたピアニストであったため、自身もピアノ独奏版で演奏することもしばしばでした。現在では「ピアノによるインプロヴィゼーション(即興的演奏)の主要なレパートリー」としても世界中で親しまれています。タイトルの「タキート(Taquito)」は靴のヒールを指し、軍隊のブーツが石畳を鳴らすリズムから着想を得ています。

【聴きどころ】
1)躍動感あふれる「ミロンガ」のリズム
 タンゴの源流であるミロンガ特有の、跳ねるような軽快なリズムが特徴です。軍隊の行進を思わせる、この小気味よい拍動が曲全体を支配しています。
2)ピアノによるオーケストラのような響き
 ピアノ独奏版であっても、低音から高音までピアノの全音域を駆使することで、あたかもオーケストラが演奏しているかのような重厚で色彩豊かな響きを楽しむことができます。
3)ピアニストに愛される技巧的な魅力
 この曲は多くのピアニストにとって「最初に学ぶミロンガ」の一つに挙げられるほど親しまれており、同時に楽器の熟練したコントロールが求められる、聴き応えのある技巧的な作品です。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
モーレス、マリアーノ:軍靴の響き

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