一日一曲(1774)ウールフェンデン、ガイ:ガリモウフライ

 本日は、没後10年(2016年4月15日没)を迎えらえたイギリスの作曲家、ガイ・ウールフェンデンさんの曲をご紹介します。

【ガイ・ウールフェンデン:劇音楽の大家としてシェイクスピアの魂を吹奏楽に吹き込んだ英国の才人】
 ガイ・ウールフェンデン(Guy Woolfenden OBE)は、1937年7月12日、イギリスのチェシャー州イプスウィッチに生を受けました。ケンブリッジ大学のクライスト・カレッジ、次いでギルドホール音楽演劇学校で学び、当初はホルン奏者としてそのキャリアを歩み始めます。
 彼の人生を決定づけたのは、1961年のロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)への加入でした。わずか2年後の1963年には音楽監督に就任し、以後37年間にわたって、本拠地ストラトフォード=アポン=エイヴォンなどで150本を超えるシェイクスピア劇の音楽を手がけることになります。劇場の専属作曲家として、舞台の呼吸に合わせた緻密な音楽を作り続ける日々が、彼の血肉となりました。
 吹奏楽作曲家としてのデビューは1983年、40代半ばのことでした。当時、英国吹奏楽協会(BASBWE)の会長を務めていたティモシー・レイニッシュ氏らの委嘱により、自身初となる吹奏楽作品『ガリモウフライ』を発表します。RSCでの豊かな劇伴経験を、管楽器の合奏という新たな形に昇華させたこの作品は熱狂的に受け入れられました。その後も、大英帝国勲章(OBE)を受章するなど英国楽壇に多大な貢献を続け、2016年4月15日、多くの音楽仲間に惜しまれつつ、その80年にわたる生涯を閉じました。

【本日のご紹介曲:ガリモウフライ(Gallimaufry)】
 1983年に作曲された本作は、ウールフェンデンが初めて吹奏楽のために書き下ろした記念碑的作品です。王立ノーザン音楽大学(RNCM)と英国吹奏楽協会(BASBWE)の委嘱を受け、同年9月24日に作曲者自身の指揮で初演されました。
 タイトルの「ガリモウフライ」とは「ごった煮」や「混ぜ合わせ」を意味し、シェイクスピアの『冬物語』にあるフレーズから取られています。この曲は、1982年にロンドンのバービカン・センター開場記念公演として上演されたシェイクスピア劇『ヘンリー四世』のために、彼が書いた劇伴音楽をベースに構成されています。
 全6つのセクション(「教会と国家」「居酒屋の内外」「発作と騒動」「父と子」「前進と後退」「教会と現状維持」)が切れ目なく演奏され、約15分の中に劇的な物語が凝縮されています。

【聴きどころ】
1)場面転換を想起させるドラマティックな展開
 荘厳な国家の響きから、庶民が集う居酒屋の卑俗で陽気な音楽へと一気に空気が変わる様子は、まさに演劇の舞台転換そのものです。物語の情景が鮮やかに浮かび上がる構成が魅力です。
2)共通のテーマが形を変えて現れる統一感
 「ごった煮」というタイトルながら、全6曲を通して関連性のある主題が使われています。例えば、第5曲の行進曲の中にそれまでの居酒屋の旋律が紛れ込むなど、知的な遊び心が随所に散りばめられています。
3)楽器奏者としての視点が活きた響き
 ホルン奏者でもあった彼らしく、金管楽器の輝かしいファンファーレや木管楽器の軽妙な掛け合いが非常に効果的です。吹奏楽という編成を、単なる「吹奏」ではなく「ウィンド・アンサンブル」として緻密に扱った響きを堪能できます。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ウールフェンデン、ガイ:ガリモウフライ

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