一日一曲(1883)ラウタヴァーラ、エイノユハニ:カントゥス・アルクティクス – 鳥と管弦楽のための協奏曲
没後10年(2016年7月27日没)を迎えらえたフィンランドの作曲家、エイノユハニ・ラウタヴァーラさん特集の三日目です。
【エイノユハニ・ラウタヴァーラ:フィンランドの広大な自然と神秘的な天使の響きを融合させ、現代音楽に豊かな抒情性を取り戻した現代クラシック界の巨匠】
【 生涯の歩み(第3部)】オーケストラと自然、神秘主義への開花
前衛的な実験を一通り経たラウタヴァーラは、1970年代に入ると独自の音楽的境地へと足を踏み入れます。それは理論にとらわれず、自然の美しさや人智を超えた神秘的な存在を音楽で表現する道でした。フィンランド北部の豊かな自然環境や極北の風景は、彼の創作意欲を大きく刺激しました。この時期の彼は、最新の電子技術であった録音テープ(磁気テープ)をクラシックの管弦楽と組み合わせる革新的なアプローチを試みました。北極圏の自然音を取り入れた作品は、従来のクラシック音楽の枠組みを大きく押し広げ、世界中で大きな話題となりました。1976年にはシベリウス音楽院の作曲学教授に就任し、フィンランドの音楽教育の頂点に立ちました。過激な前衛から脱却し、広大な自然の響きと透明感あふれるオーケストレーションを融合させたこの時代のスタイルは、彼の代名詞となる「神秘主義」の確固たる礎となりました。
【本日のご紹介曲:『カントゥス・アルクティクス(北極の歌)— 鳥と管弦楽のための協奏曲』Op.61 (1972年作曲)】
ラウタヴァーラの全作品の中で最も親しまれ、世界中で頻繁に演奏されている不朽の名作です。オウル大学の卒業式のために委嘱された作品で、作曲者自身が北極圏近くの湿原でフィールドレコーディングした鳥たちの鳴き声(磁気テープ)が、オーケストラの奏でる広大な音響と見事に調和します。人間と自然が一体となった神秘的な空間を創り出しています。
【聴きどころ】
1)録音された鳥の歌声とオーケストラの幻想的な共演
カオジロガモやヒバリなど、北極圏の鳥たちのリアルな声がオーケストラの美しい和声の中に溶け込んでいく幻想的な響きです。
2)第2楽章『メランコリー』の切なく美しい旋律
低音弦楽器と木管楽器が奏でる北欧の寒冷な空気を思わせる切なく抒情的なメロディが心に深く染みわたります。
3)第3楽章『渡り鳥』における壮大なクレッシェンド
鳥たちの羽ばたきと共にオーケストラが徐々に音量を増し、渡り鳥が空の彼方へ飛び立っていくかのような圧倒的なスケール感に包まれます。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ラウタヴァーラ、エイノユハニ:カントゥス・アルクティクス – 鳥と管弦楽のための協奏曲
ラウタヴァーラ、エイノユハニ:カントゥス・アルクティクス – 鳥と管弦楽のための協奏曲(CD)
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