一日一曲(1885)ラウタヴァーラ、エイノユハニ:ピアノ協奏曲第3番「夢の贈り物」
没後10年(2016年7月27日没)を迎えらえたフィンランドの作曲家、エイノユハニ・ラウタヴァーラさん特集の五日目、最終日です。
【エイノユハニ・ラウタヴァーラ:フィンランドの広大な自然と神秘的な天使の響きを融合させ、現代音楽に豊かな抒情性を取り戻した現代クラシック界の巨匠】
【 生涯の歩み(第5部)】病を乗り越えて到達した晩年の美と昇天
2000年代に入り、70代後半を迎えたラウタヴァーラは大動脈解離という極めて重篤な病に倒れ、数ヶ月間にわたる集中治療を余儀なくされました。一時は生命も危ぶまれましたが、奇跡的に回復を果たした彼は、再び力強い創作の情熱を取り戻しました。闘病後の最晩年の作品群は、激しさや葛藤を超越し、澄み渡った澄んだ静けさと豊かな回想に満ちた至高の美に到達しています。彼は名ピアニスト・指揮者ヴラディミール・アシュケナージをはじめとする長年の友人たちのために名曲を書き続けました。最期まで作曲への情熱を失わなかった巨匠エイノユハニ・ラウタヴァーラは、2016年7月27日、胸部手術後のコンプリケーション(合併症)により、生まれ故郷であるヘルシンキの病院にて87歳で穏やかにその生涯を閉じました。彼が残した美しく神秘的な音楽の数々は、現代音楽の可能性を大きく広げ、今もなお世界中の人々の心を癒やし続けています。
【本日のご紹介曲:ピアノ協奏曲第3番『夢の記憶(Gift of Dreams)』(1998年作曲)】
長年の友であり、彼の音楽の良き理解者であったヴラディミール・アシュケナージからの委嘱によって書かれた協奏曲です(初演ではアシュケナージ自身が弾き振りを行いました)。1969年の激しい第1番とは対照的に、タイトルが示す通り、水面に漂う夢の景色を眺めているかのような幻想的で静謐な美しさに溢れています。彼の生涯の音楽的旅路を静かに振り返るような、最晩年の傑作です。
【聴きどころ】
1)夢の中にまどろむような幻想的なピアノの音色
オーケストラの柔らかい響きの上で、ピアノ独奏が細やかに美しい旋律を紡ぎ出し、聴き手を夢幻の世界へと誘います。
2)指揮と独奏が一体となる濃密な対話
ピアノとオーケストラが対立するのではなく、寄り添うように緻密に交錯していく室内楽的な繊細さを楽しめます。
3)澄み切った哀愁と静かな感動のラスト
過度な装飾を削ぎ落としたシンプルな旋律線が深く胸に響き、静かで満たされた感動とともに楽曲が締めくくられます。
本日は曲の委嘱者であるヴラディミール・アシュケナージが弾き振りをした録音でお楽しみください。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリ)より(NML会員以外の方でも無料で試聴できます)
ラウタヴァーラ、エイノユハニ:ピアノ協奏曲第3番「夢の贈り物」
ラウタヴァーラ、エイノユハニ:ピアノ協奏曲第3番「夢の贈り物」(CD)
|
|
